愛撫なしには愛は伝わらないもの

欧米人に限らずアジアの人々、たとえば中国や韓国の人たちも、はっきりとした自己主張が得意です。それに対して、われわれ日本人は、自分の意志や感情をストレートに表に表すことが上手ではありません。「話さなくても通ずるものがある」と信じる傾向が強く、昔から「あうんの呼吸」とか「以心伝心」という言葉が好まれてきた伝統があります。しかし、そもそも、感情を表に出すことをよしとしない人間同士が、相手の意思を読み取ることは容易ではありません。他国の人々に比べると、むしろ伝わりにくいはずです。しかも、最近では「空気を読む」「KY」という風潮がつよくなり、よりいっそうコミュニケーションが難しくなっています。

夫婦生活においても、こうした傾向は影響しています。妻は夫に抱いてほしいと思っていても、その気持ちがなかなか伝わらない。夫の留守中に一人でマスターベーションをして欲求不満をはらしてしまう。夫がEDで悩んでいても、その深刻さは妻には伝わらない。バイアグラを使いたいけれどそれを妻に相談できず、ベッドで妻が体をすりよせてきても、気づかぬふりをして寝てしまう。こうした言葉のすれ違いが、愛のすれ違いにつながっていきます。「気持ちはつながっているけれど、セックスはない、愛撫すらない」というとなどあり得ません。気持ちが離れているから愛撫もなくなりますし、愛撫がないから気持ちも離れていくものです。愛を確かめ合いたいなら、まずは愛撫を始めることです。

日本人はコミュニケーションもセックスもヘタ

感情を表に出さないことを美徳とする価値観のある日本人は、コミュニケーションが下手です。自分の考えや気持ちを表現しないでおきながら、一方では「分かって欲しい」と期待しているのですから、始末が悪い。互いの感情を理解し合う機会を自らつぶしているともいえるでしょう。

夫婦の間も同様です。「言わなくても分かってくれる」関係を期待し過ぎるあまり、コミュニケーションに大きな齟齬(そご)が生じていても気づきません。特に、性的な不満足はまったく伝わらないのです。言葉での意思疎通がうまくないということは、そのままセックスがうまくいかないことにつながります。日本人夫婦は平均して月に2~3回しか性生活を持ちませんが、それに満足しているカップルは驚くほど少ない現状にあります。「もっとしたい」と思っているのに、しない、のです。

コミュニケーションの範囲を広げることがスタート

結婚生活における夫婦関係を改善するためには、まずはコミュニケーションの幅を広げることが大切です。相手に対する愛情を表現するには、色んな方法があるでしょう。抱きしめたり、キスをしたり。セックスも愛情表現の最重要な行為ですが、愛撫するだけでも意味があります。ハグやキスに比べて、愛撫は肌から愛情が浸透するという心理的な効果がありますので、セックスレスを解消するための第一歩ともなるはずです。

仕事に精を出したり、家事や育児に懸命に取り組んだりすることが、愛情表現につながると期待している男女は少なくありませんが、それだけでは愛は伝わりません。互いの体をまさぐり愛撫し合うことも大切なのです。